『開かれたからだ』と『閉じたからだ』

新規の受講生の方に「最初の6回から10回目位は出来るだけ

コンスタントに来てください」とお願いしています。

なぜならレッスンでHOW TOを覚えて帰って自宅で練習するの

ではなく、動きを通して異なった身体感覚を体験してもらう事こそが

最初のステップの目的だから。今まで知らなかった感覚を短期間に

続けて経験することで、からだが目覚め、本来持っていたけれど 

閉じていた可能性の扉が開くのを促がせるのです。

 

レッスン後のからだは「キープしなくてはいけない正しい状態」では

なく、「新しい感覚という刺激を受けた、(その時点での)結果」。

ですから稽古場でつかんだ身体感覚が弱くなったり消えてしまっても、

気にする必要はありません。むしろ受動的にレッスンを受けた方が、

未知の感覚や変化を味わっている間にからだの可動性のスイッチが

入って、次第に可塑性を取り戻し始めます。

 

 

HPで「鍛える為のトレーニングや人手を借りる治療ではありません」と

書いている『からだのレッスン』って何?と思われた方もあることでしょう。

トレーニングで鍛えることや、施術のようなレッスンの存在や必要性を

否定しているのではありません。ただ、「運動不足や筋力がないから」

思ったように動けないのではなく、「からだの動きが制限されているのに

気づかないまま、新しい状況に対応しようとしているから」だとアトリエ

どみのでは考えていて、今のレッスン形態になりました。

これはフェルデンクライスとトマティスという「環境が身体や耳をつくる」と

(奇しくも同じ)発想をする2つのメソッドを通して得た結論です。

 

このことをヒトの成長という観点から説明してみます。

子どもは生まれ育った環境に影響されて(その中で)成長していきます。

周りの人の動きを真似たり、家具の配置からそれらの高さや形状、家の

外の状況など多様な状況下でどう自分のからだを扱うか、それから

目的を達成するにはどう動いたらいいか試行錯誤を繰り返し、複数の

可能性の中から自分にとって快適で適切だと判断したものを選びます。

 どんな環境でも適応できる可塑性がからだにはあるので、吸収力の

ある幼少時は旺盛な好奇心と「できた!」という喜びが原動力になり、

実に根気よくTRY&ERROR(実験)を重ねて身につけていきます。

 こうしてハイハイから立ち上がり、やがて二本足歩行の世界に加わり

ます。身体的な適応がほぼ終わると、興味の対象は自分(のからだ)から

周囲の人たちとの関係に移っていきます。成長するにつれて自動化した

動きは習慣となり、からだのことを(必要以上に考えず)意識しないで

勉強や仕事、社会に向き合えるようになるのです。

 

このように、どんな環境でもOKの可塑性のある『開かれた身体』から、

一定の環境への最適化を経て安定した『閉じた身体』になっていきます。

もちろん生活環境が変われば、それに合わせた新たな学びが始まります。

 若いうちは開いて学び、閉じてはそれを確かで強いものにする、という

過程を繰り返して、各人が安定した状態を目指します。そうして獲得した

安定状態で日々の活動を続けて行ければ良いのですが、現代は社会が

変化する速度がとても早いので、閉じたままでいるのは難しいようです。

 

 

アトリエどみのの受講生の多くは、『新しいことへの挑戦』や『からだの

曲がり角』の時期に来られます。この『からだの曲がり角』というのは、

気がついたら環境が変化して今までのからだの扱いのままではうまく

いかなくなっていること。昔のCMに「『お肌の曲がり角』には若い時の

化粧品はもう合わないでしょう?」というのがあって、それがピッタリ

だったので『曲がり角』を拝借しました。

 

生活や仕事をしっかりとこなし、でもその安定した強さゆえに(新しい

学びや加齢といった)変化への対応が難しくなっているのなら、それは

『曲がり角』に来ているサイン。そこで閉じたからだに(あまり)経験した

ことのない動きで気づきを促すと、少しずつ自分が無自覚にかけて

いた制限が弛んできます。骨格・深層筋・聴覚を刺激する様々な

レッスンによって、からだが変化するのを楽しめるようになったら

しめたものです。お気に入りのレッスンを集めてまとめ、自分仕様の

せルフメンテナンスの方法をまとめていく間に、からだは可塑性を

取り戻していきます。

 

「どみののレッスンを知らない人に、言葉で説明するのは難しい」と

よく言われます。目的や身体的条件などが同じ事はまずない受講生の

、その日その時のニーズを掴んで沿っていくので、レッスンはまさに

一期一会。何をするか何処に行くのかが、教える側にも(少なくとも

スタート時には)判らないことが多いためかもしれません。

 お話を伺いながら受講生の『からだが発する声』を聴きとって、

それに最適だと思われる手法から入る。レッスンの内容は受講生の

からだが選んでいるとも言えるでしょう。『からだは頭よりお利口』

なので間違いはなく、そのリクエストにお応えするためにメソッドの

手法や発想を使います。たとえ受講生が変わらなくても同じレッスンは

二度とありません。

 

 

このような訳で、アトリエどみのは特定のメソッド自体を伝授するの

ではなく、あなた自身が自分に合ったメソッドを創るための素材を

提供する場。主役はあなたのからだ、そしてその声を聞き取って

具体的なカタチにしてお返しするのがアトリエどみのの役割だと

思っています。