靴下の思い出と取扱い開始のご案内

何年か前に旅行先で見つけた、旅ならぬ足袋ソックス(笑)。一時はまって、
京都や奈良のメーカーのものをいくつも買って試し、受講生にも勧めたことが
あります。凝った和風の柄が楽しく、またその柄によってサポート力が違うので
履いただけで身体の感覚が変化するのです。

けれど、ある程度の数が揃って慣れてくると熱も冷めるのか、気がついたら

殆どの親指に穴があいた状態でたんすの中に忘れられていました。

その前のブームは五本指靴下でした。フェルデンクライス・メソッド関係者の
多くが、からだの感度をあげるために、かなり前から五本指靴下をはいて
いたのです。自分自身が動くにも、手技をするときの身体使いにも最適なので。
しかし私たちはパリの養成講座が終わって何年もしないうちに、あまり履かなく
なっていました。朝の忙しい時に5本の指を入れるのが面倒になったり、あちこち
薄くなって捨てたり。ただ、質の良い絹のものはもったいなくて、指の部分を切り
レッグウォーマーに転用したりしました。

長いブレークを経て、化繊の靴下に突如嫌気がさしたのと『冷え取り』を知った
ことから、最近また靴下探しが始まりました。ようやく気に入った五本指靴下が
見つかったので、何人かの人にモニターをお願いもしました。足指の変形した
人や感覚のない人が履きやすい靴下と出会い、足の指と仲良くなってからだが
変わっていくのを見るのは嬉しいことです。

 

実は私たちが東京ではなくパリで、フェルデンクライス・メソッドの養成講座を
無事に終えられたのには、五本指靴下のお蔭もありました。1994年から
99年の間、数百足もの絹の五本指靴下を(自分の荷物を減らして)リュックに
詰め込んで運び、生活費や受講料の足しにしていたのです。

お土産として持参した絹の五本指靴下を受け取った恩師から、「サリドマイドの
薬害で腕のないフェルデンクライス・メソッドの生徒が足で手技をするために、
手袋のような靴下が欲しかった」「これは、それにピッタリだ」と喜ばれた上に、
その草木染の絹100%の靴下を「普段のレッスンにも最適なので、クラスの
他の生徒にも売りなさい」と勧めてくれたのでした。

授業料・飛行機代・滞在費を工面するだけで、毎回ギリギリ状態の私たち。
「1足1,700円(当時)の靴下は私たちには高い。上質で珍しいとはいえ
2,000円以上で売ったとして、買う人が果たしているのだろうか?」と
いう疑問から、繊細な草木染の絹を7~8足プラスくず絹の生成りや
木綿のなど、素材の違うものを合わせて20足ぐらい持っていきました。
ところが、先生は商品を見るなり「次からは良いもの(草木染の絹100%)
だけを持ってきなさい」と断言しました。

30足以上なら卸値になることがわかって、直接メーカーから仕入れて
持っていくことになりました。最初は心配しましたが、先生が授業中に
宣伝してくれたのが功を奏してか、好奇心の強いフランス人や品質を
見て納得した堅実なドイツ人が買ってくれました。大方はレッスン用の
靴下として大事に使ってくれたようです。11月の秋学期には「日本製の
上等で色のキレイな、絹の五本指靴下」は、クリスマスのプレゼント用と
しても良く売れました。

養成講座の受講生は60名ぐらいでしたが、ふだん話したりペアワークで
選ぶ相手はだいたい限られています。日系ブラジル4世を含む日本語を
話せる生徒4人と団体のドイツ人たちに対して、「同じ言語の通じる同志
では組まないように」と言う指示が最初にありました。そうは言われても
やはり外国人が苦手の人たちとペアを組んだり話したりすることは、多く
ありません。多くのフランス人は人見知り(というか怖がり)で、用がない
限り近寄ってきませんし・・・。
けれど五本指靴下を売り始めると、それがきっかけになって沢山の人と
話すようになりました。そして最初の2年くらいは個別に売っていたのが、
やがて私たちのいない期間や他のクラスにも広めるために、と注文が
先生の事務所から入って、その代金がそのまま授業料になりました。

今になってみると他の人と関わるきっかけづくりや経済状態への配慮
だけでなく、パリに行くモチベーションが下がった時でも注文された商品を
届けるという義務をつくっておくことで、私たちに4年間を何とか乗り越え
させようという恩師の思いがあったことに気がつきます。フェルデンクライス・
メソッドだけでなく、ユダヤ人の「良いものを選ぼう」という意志も貴重な
学びとなりました。

 

あの頃の草木染の靴下を自家消費用に買い続けなかった理由は、繊細すぎて
劣化が早かったのと(絹の排毒作用で、穴が開いたり溶けたりしたようです)、
かかとがなかったからです。また足裏の感覚は良くなっても、靴の脱ぎ履きの
多い日本では靴下自体にサポート力がないと、骨格がしっかりしないことも
やがて不満になってきます。

今回見つけたのは、内側が絹で外が木綿(冬物は羊毛)の五本指靴下です。
もちろんかかとがあって、サポート部分は化繊やゴムを使って締めつけるの
ではなく、編み方によって支えるようになっている優れもの。
気に入って毎日履いています。

履いていただきたいと思う方たちに五本指靴下を勧めながら、こうして振り返って
みたら、思ったより長いこと靴下に関わってことに気づきました。自分のリサーチ用と
モニター分を取り寄せただけなので、在庫は少々しかありません。気になった方は
早めに試着希望のご連絡をくだされば、次回のレッスンまでに取り寄せておきます。

ということで、20年ぶりに靴下屋再開です。とはいえ、ネットショップや店舗ではなく、
アトリエどみの内で受講生に対面で販売することに限定して扱います。また本業に
する気はないので、商品はお勧めしたい2種類(フィットとサポート)の五本指靴下
のみです。

    フィット  M(22~24cm)     L(24~26cm)   ※大き目です
   サポート  M(22~24cm)     L(24~26cm)      

 

ゴムではなく編み方でサポートしています